愛麗絲漫游奇境記

不思議の国のアリス

   第 12 篇

   12.

   愛麗絲的証明

   アリスのしょうこ

   “在這儿!”愛麗絲喊道,她完全忘了在剛才的混亂時刻,她已經長得很大 了。她過于急促地站起來,竟弄得裙邊掀動了陪審員席,把陪審員們翻倒在下面 听眾的頭上,害得他們在人頭上爬來爬去,這情景使愛麗絲想起一星期前她偶然 打翻金魚缸的事。

   「ここです!」とアリスは声をあげ、いっしゅんこうふんしてここ数分で自分がどれほど大きくなったかをすっかりわすれ、あわてて立ち上がりすぎて、陪審席をスカートのはしにひっかけてたおしてしまい、おかげで陪審たちがその下のぼうちょう席に、頭から浴びせられることになってしまいました。そしてみんなベシャッと横になって、アリスは先週うっかりひっくりかえした金魚鉢のようすを、まざまざと思いだしました。

   “啊,請大家原諒!”愛麗絲极其尷尬地說,一面盡快地把陪審員們扶回原 位,因為對金魚缸的事情的回憶還在她頭腦回旋,使她隱約地意識到如果不立即 把陪審員放回席位上,它們會死去的,

   「あらほんとうにごめんなさい!」アリスはうろたえてさけび、できるだけすばやくみんなをひろいあげました。金魚鉢の事故が頭のなかをかけめぐって、なんだかすぐにあつめて陪審席にもどしてあげないと、みんなすぐに死んじゃうような気がばくぜんとしたのです。

   這時,國王庄重地宣稱:“審訊暫停,直至全体陪審員返回原位。”他說得 那么使勁儿,眼睛嚴厲地盯著愛麗絲。

   王さまがとてもおもおもしい声でもうします。「陪審員が全員しかるべきいちにもどらないかぎり、裁判をすすめることはできない――全員、だぞ」と、とても強くくりかえしながら、アリスをにらみつけます。

   愛麗絲看著陪審員席,發現由于自己的疏忽,竟將壁虎頭朝下放上了。那個 可怜的小東西無力動彈,只是滑稽地搖擺著尾巴。愛麗絲立即把它拾起來放正。 愛麗絲想,“如果沒有重大變故,壁虎還會同其它陪審員一樣,發揮重大作用的。”

   陪審席をみてみると、あわてていたせいで、トカゲをさかさにつっこんでしまったのがわかりました。かわいそうなトカゲはかなしそうにしっぽをふって、まるでみうごきができずにいたのです。すぐに出してあげて、ちゃんともどしてあげました。「でもべつにたいしたちがいじゃないと思うけれど。あのトカゲなら、さかさだろうと裁判にはまるっきりえいきょうしないと思う」とアリスは考えます。

   等到陪審員們鎮定下來,紙板和鉛筆也都找到了以后,它們立即勤奮地工作 起來了。首先是記下剛才事故的歷史。只有壁虎除外,它已經精疲力盡,不能干 任何事情了,只是張著嘴坐著,兩眼無力地望著法庭的屋頂。

   陪審たちが、ひっくりかえされたショックからすこし立ちなおり、石板と石筆がみつかってかえされると、みんなすぐにこの事故のけいかを、こまごまと書きつけはじめました。ただしトカゲだけはべつです。トカゲはショックがつよすぎて、口をぽかーんとあけて法廷の屋根を見あげながら、すわっているだけでした。

   國王開口了:“你對這個案子知道些什么?”

   「このいっけんについて、なにを知っておるかね?」王さまはアリスにききました。

   “什么也不知道。”愛麗絲回答。

   「なんにも」とアリス。

   “任何事也不知道?”國王再問。

   「なにもまったく?」と王さまがねんをおします。

   “任何事也不知道。”愛麗絲答。

   「なにもまったく」とアリス。

   “這點很重要。”國王對陪審員們說。 陪審員們正在把這些問答記在紙板上,白兔忽然插嘴說:“陛下的意思當然 是不重要。”它用十分尊敬的口气,同時對國王擠眉弄眼的。

   「これはきわめて重要(じゅうよう)じゃ」と王さまはばいしんにむかって言いました。ばいしんたちがこれを石板に書き始めたところで、白うさぎが口をはさみます。「非重要(ひじゅうよう)と、もちろん王さまはいわんとしたのです」その口ぶりはとってもそんけいがこもっていましたが、でも言いながら王さまにむかって、しかめっつらをして変な顔をしてみせています。

   國王赶快把話接過來:“當然,我的意思是不重要。”接著又低聲畝語, “重要……不重要……不重要……重要”──好像在反复推敲詞句。

   「非重要(ひじゅうよう)じゃ、もちろんわしのいわんとしたのは」と王さまはあわてて言いました。そしてそのあとで「重要(じゅうよう)――非重要(ひじゅうよう)――重要(じゅうよう)――非重要(ひじゅうよう)――」と小声でぶつぶつつぶやいて、どっちのことばがしっくりくるかを決めようとしてるみたいでした。

   有些陪審員記下了“重要”,有些寫了“不重要”。愛麗絲离陪審員們很近, 它們在紙板上記的字她都看得一清二楚。心想:“反正怎么寫都沒關系。”

   陪審(ばいしん)のなかには「重要(じゅうよう)」と書いたのもいたし、「非重要(ひじゅうよう)」と書いたのもいました。アリスは石板をのぞきこめるくらい近くにいたのです。「でもどうだっていいや」と思いました。

   國王一直忙著在記事本上寫什么?這時他高聲喊道:“保持肅靜!”然后他 看著本子宣讀:“第四十二條,所有身高一英里以上者退出法庭。”

   このとき、しばらくノートにいろいろねっしんに書きつけていた王さまが「せいしゅくに!」とかなきり声をあげて、ほうりつ書をよみあげました。「規則だい四十二番。身のたけ1キロ以上のものは、すべて法廷を出なくてはならない」

   大家都望著愛麗絲。

   みんなアリスのほうを見ました。

   “我不到一英里高。”愛麗絲說,

   「あたし、身長一キロもないもん!」とアリス。

   “將近兩英里了。”王后插話說。

   「あるね」と王さま。

   “你夠了。”國王又說,

   「二キロ近くあるね」と女王さま。

   “不管怎么說,我反正不走,”愛麗絲說,“再說,那根本不是一條正式規 定,是你在這儿臨時發明出來的。”

   「ふん、どっちにしても、あたしは出ていきませんからね。それに、いまのはちゃんとした規則じゃないわ。いまでっちあげただけでしょう」

   “這是書里最老的一條規定。”國王說。

   「ほうりつ書で一番ふるい規則じゃ」と王さま。

   “那么這應該是第一條呀。”愛麗絲說。

   「だったら規則一番のはずだわ」とアリス。

   國王臉色蒼白,急忙合上了本子,他以發抖的聲調低聲對陪審美說:“請考 慮評審意見。”

   王さまはまっさおになり、ノートをあわててとじました。そして陪審にむかって小さなふるえる声で「判決を考えるがよい」ともうしました。

   “陛下,好了,又發現新的証据了。”白兔急忙跳起來說,“這是才拾到的 一張紙。”

   「まだしょうこが出てまいります、おねがいですから陛下」と白うさぎがあわてて飛び上がりました。「ちょうどこのかみきれが手に入りましたのです」

   “里面說什么?”王后問。

   「なにが書いてあるのじゃ?」と女王さま。

   白兔回答:“我還沒打開來呢?但是看來是一封信,是那個罪犯寫給……給 一個什么人的。”

   「まだあけておりませんで」と白うさぎ。「でもなにやら手紙のようで。囚人が書いたもののようです――だれかにあてて」

   “肯定是這樣,”國王說,“除非它不是寫給任何人的,而這不合情理。”

   「そうだったにちがいない。ただし、だれにもあてていないかもしれないぞ、めったにないことではあるがな」と王さま。

   “信寫給誰的?”一個陪審員問。

   「だれあて?」と陪審の一人。

   “它不是寫給誰的,事實上,外面什么也沒寫,”白兔一面說,一面打開摺 疊的紙,又說,“根本不是信,而是一首詩。”

   「あて先がまったくないのです。じつは、外側にはなにも書かれていないのです」こういいながら、白うさぎはかみをひらいて、つけたしました。「やっぱり手紙ではありませんでした。詩です」

   “是那罪犯的筆跡嗎?”另一個陪審員問。

   「囚人の筆跡かい?」とべつの陪審がききます。

   “不是的,這真是奇怪的事。”白兔說。這時陪審員全都感到莫名其妙。

   「それがちがうのです。一番なぞめいた部分ですな」と白うさぎ。(陪審たちはみんな、ふしんそうな顔をします。)

   “一定是他模仿了別人的筆跡。”國王這么一說,陪審員全都醒悟過來了。

   「だれか別人の筆跡をまねたにちがいない」と王さま(陪審たちはみんな、顔がパッとあかるくなりました)。

   這時,武士開口了:“陛下,這不是我寫的,他們也不能証實是我寫的。末 尾并沒有簽名。”

   「おねがいです、陛下。わたしは書いておりませんし、だれもわたしが書いたとは証明できないはずです。最後にしょめいもないじゃないですか」とジャック。

   “如果你沒有簽名,”國玉說,“只能說明情節更惡劣。這意味著你的狡猾, 否則你就應該像一個誠實的人那樣,簽上你的名字。”

   「しょめいしなかったのなら、なおわるい。きさまはまちがいなくなにかをたくらんでおったろう。さもなければ、正直者としてちゃんとしょめいをしたであろうからな!」と王さま。

   對此,出現了一片掌聲。這真是那天國王所講的第一句聰明話。

   これにはあちこちではくしゅがおこりました。この日、王さまが言ったはじめての、まともにかしこいことだったからです。

   “那就証明了他犯罪。”王后說。

   「これであやつのゆうざいが証明された」と女王さま。

   愛麗絲卻說:“這証明不了什么!啊,你們甚至不知道這首詩寫的是什么呀!”

   「ぜんぜんそんな証明にはならないわ!」とアリス。「だいたいみんな、なにが書いてあるかもまだ知らないくせに!」

   “快讀一讀!”國王命令道。

   「読むがよい」と王さま。

   白兔戴上了眼鏡,問道,“我該從哪儿開始呢?陛下。”

   白うさぎはめがねをかけます。「どこからはじめましょうか、陛下?」

   “從開始的地方開始吧,一直讀到末尾,然后停止。”國王鄭重地說。

   王さまはおもおもしくもうします。「はじめからはじめるがよい。そして最後にくるまでつづけるのじゃ。そうしたらとまれ」

   下面就是白兔所讀的詩句:

   白うさぎが読みあげた詩は、こんなものでした:

    “他們說你先是對她,
     后又對他談到了我。
     她給我良好的贊譽,
     但卻說我不會游水。

     「きみが彼女のところへいって、
       ぼくのことを彼に話したときいた:
       彼女はぼくをほめてはくれたが、
       ぼくが泳げないといった。

    “他捎話說我沒有前往,
     我們知道這并非撒謊。
     假如她竟然把事情推進,
     你又當處于何种景況?

      彼はみんなにぼくが去っていないと報せた
       (これが事実なのはわかっている):
       彼女がこの件を追求したら、
       きみはいったいどうなる?

    我給她一個,他們給他一雙,
     你給我們三個或者兩雙,
     它們都從他那里歸于你方,
     反正從前都是我的,一樣一樣。

      ぼくは彼女に一つやり、みんなはかれに二つやり、
       きみはぼくらに三つ以上くれた:
       みんな彼からきみへもどった、
       かつてはみんなぼくのだったのに。

    “假如我或她竟然會
     掉進這個是非漩渦,
     他請你解除他的冤枉,
     就如我們早先的期望。

      もしぼくか彼女がたまさか
       この事件に巻き込まれたら
       彼はきみにかれらを解放してくれという、
       ちょうどむかしのぼくらのように。

    “我的想法就是你的那樣,
     也就是她有過的詩章,
     你在他和我們之間,
     早已成了難越的屏障。

      ぼくの考えではきみこそが
         (彼女がこのかんしゃくを起こす前は)
       彼とわれわれとそれとの間に
       割って入った障害だったのだ。

    “切勿告訴他:她最喜歡他們,
     這必須永遠是個秘密。
     也切勿告訴其他人,
     只在你我之間。”

      彼女がかれらを一番気に入っていたと彼に悟られるな
       というのもこれは永遠の秘密、
       ほかのだれも知らない、
       きみとぼくだけの秘密だから」

   “這是我們听到的最重要的証据了,”國王擦著手說,“現在請陪審員……”

   「これまできいたなかで、もっとも重要なしょうこぶっけんじゃ」と王さまは、手もみしながらもうします。「では陪審は判決を――」

   “如果有誰能解釋這些詩,我愿意給他六十便士,我認為這些詩沒有任何意 義。”愛麗絲這么說。(就在剛才的那一瞬間,她已經長得十分巨大,所以她一 點也不怕打斷國王的話。)

   「あのなかのだれでも、いまの詩を説明できるもんなら、六ペンスあげるわよ」(アリスはこの数分ですごく大きくなったので、王さまの話をさえぎっても、ちっともこわくなかったんだ)「あたしはあんな詩、これっぽっちも意味はないと思うわ」

   陪審員都在紙板上寫下:“她相信這些詩沒有任何意義。”但是他們中沒有 一個試圖解釋一下這些詩。

   陪審(ばいしん)はみんな、石板に書きつけました。「この女性はあんな詩、これっぽっちも意味はないと思う」でもだれもそれを説明しようとはしません。

   “如果詩里沒有任何意義,”國王說,“那就免除了許多麻煩。你知道,我 們并不要找出什么意義,而且我也不懂什么意義。”國王說著,把這些詩攤開在 膝上,用一只眼睛看著說,“我終于明白了其中的一些意義──‘說我不會游水’ 一─就是說你不會游水,是嗎,”國王對著武士說。

   「これっぽっちも意味がないなら、いろいろてまがはぶけてこうつごうじゃ、意味をさがすまでもないんじゃからの。しかしどうかな」と王さまは、詩をひざのうえにひろげ、かた目でながめてつづけます。「どうもなにかしら意味はよみとれるように思うんじゃがの。『――泳げないといった――』おまえ、泳げないじゃろ?」と王さまはジャックのほうをむきます。

   武士傷心地搖搖頭說:“我像會游水的嗎?”(他肯定不會游水的,因為他 全部是由硬紙片做成的。)

   ジャックはかなしそうに首をふりました。「泳げそうに見えます?」(たしかに見えなかったね、ぜんしんがボールがみでできていたもの)。

   “現在全對了,”國王說,一面又繼續嘟嚷著這些詩句:“我們知道這并非 撒謊’──這當然是指陪審員的──‘我給她一個,他們給他一雙’──看,這 肯定是指偷的餡餅了,是嗎?……”

   「いまのところはよいようじゃな」と王さまは、詩をぶつぶつつぶやきながら、先をつづけます。「『これが事実なのはわかってる』――これはもちろん陪審じゃな――『ぼくは彼女に一つやり、みんなはかれに二つやり』――なんと、これはこやつがタルトでしでかしたことではないか――」

   “但后面說‘它們都從他那里歸于你方。’”愛麗絲說。

   「でも、『みんな彼からきみへもどった』ってつづいてるじゃないの」とアリス。

   “是啊,它們都在,沒有比這更清楚的了。”國王手指著桌上的餡餅,得意 地說,“那么再看:‘也就是她有過的詩章,’親愛的,我想你沒有過詩章吧?” 他對王后說。

   「ほうれ、そこにもどっておるではないか!」と王さまは勝ちほこって、テーブルのタルトを指さしました。「明々白々ではないか。しかし――『彼女がこのかんしゃくを起こす前』とは――つまよ、おまえはかんしゃくなど起こしたことはないと思うが?」と王さまは女王さまにもうしました。

   “從來沒有!”王后狂怒著說,并把桌上的墨水缸扔到了壁虎比爾的身上。 那個不幸的比爾已經不再用手指在紙板上寫字了,因為他發現這樣是寫不出宇來 的。但是現在他又急忙蘸著臉上的墨水寫了。

   「一度もないわ!」と女王は怒り狂って、あわせてインクスタンドをトカゲに投げつけました。(かわいそうなビルは、あれから一本指で石板に書くのをあきらめていました。なんのあともつかなかったからです。でもいまや急いでまた書きはじめました。自分の頭をつたいおちてくるインキを、なくなるまで使ったのです)

   “這話沒有濕脹(‘詩章’的諧音一─譯者注)你吧!”國王帶著微笑環視 著法庭說。但是法庭上一片寂靜。

   「ではこの詩があてはまらなくてかんしゃ(く)しよう」といって王さまは、にっこりと法廷を見まわしました。あたりはしーんとしています。

   “這算一句俏皮話吧!”國王發怒了,而大家卻笑了起來。“讓陪審員考慮 評審意見。”國王這天人約是第二十次說這話了。

   「しゃれじゃ!」と王さまが、むっとしたようにつけたしますと、みんなわらいました。「では陪審は判決を考えるように」と王さまが言います。もうこれで二十回目くらいです。

   “不,不,”王后說,“應該先判決,后評審。”

   「ちがうちがう! まずは処刑――判決はあとじゃ!」と女王さま。

   “愚蠢的廢話,竟然先判決!”愛麗絲大聲說。

   「ばかげてるにもほどがある!」とアリスが大声でいいました。「処刑を先にするなんて!」

   “住嘴!”王后气得臉色都發紫了。

   「口をつつしみおろう!」女王さまは、むらさき色になっちゃってます。

   “我偏不!”艾麗絲毫不示弱地回答。

   「いやよ!」とアリス。

   “砍掉她的頭!”王后聲嘶力竭地喊道。但是沒有一個人動一動。

   「あやつの首をちょん切れ!」女王さまは、声をからしてさけびます。だれも身動きしません。

   “誰理你呢?”愛麗絲說,這時她已經恢复到本來的身材了,“你們只不過 是一副紙牌!”

   「だれがあんたたちなんか気にするもんですか!」とアリス(このときには、もう完全にもとの大きさにもどってたんだ)「ただのトランプの束のくせに!」

   這時,整副紙牌上升到空中,然后又飛落在她身上,她發出一小聲尖叫,既 惊又怒,她正在把這些紙牌揚去,卻發覺自己躺在河岸邊,頭還枕在姐姐的腿上, 而姐姐正在輕輕地拿掉落在她臉上的枯葉。

   これと同時に、トランプすべてが宙にまいあがって、アリスのうえにとびかかってきました。アリスはちょっとひめいをあげて、半分こわくて半分怒って、それをはらいのけようとして、気がつくと川辺によこになって、おねえさんのひざに頭をのせているのでした。そしておねえさんは、木からアリスの顔にひらひら落ちてきた枯れ葉を、やさしくはらいのけているところでした。

   “醒醒吧,親愛的愛麗絲,”她姐姐說,“看,你睡了多久啦!”

   「おきなさい、アリスちゃん! まったく、ずいぶんよくねてたのね!」

   “啊,我做了個多奇怪的夢啊!”愛麗絲盡她所記憶的,把那些奇怪的經歷, 告訴了姐姐。也就是你剛才讀過的那些。當她說完了,姐姐吻了她一下說:“這 真是奇怪的夢,親愛的,但是現在快去喝茶吧,天已經不早了。”于是愛麗絲站 起來走了,一面走,一面還費勁地想,她做了個多奇妙的夢呀!

   「ね、すっごくへんな夢を見たの!」とアリスはおねえさんに言って、あなたがこれまで読んできた、この不思議な冒険を、おもいだせるかぎり話してあげたのでした。そしてアリスの話がおわると、おねえさんはアリスにキスして言いました。「それはとってもふうがわりな夢だったわねえ、ええ。でもそろそろ走ってお茶にいってらっしゃい。もう時間もおそいし」そこでアリスは立ちあがってかけだし、走りながらも、なんてすてきな夢だったんだろう、と心から思うのでした。

   愛麗絲走后,她姐姐仍靜坐在那里,頭向前支在一只手上,望著西下的夕陽, 想著小愛麗絲和她夢中的奇幻經歷,然后自己進人了夢鄉。下面就是她的夢。

   でもおねえさんは、アリスがいってしまってからも、じっとすわってほおづえをつきながら、夕日をながめつつアリスとそのすばらしい冒険のことを考えておりました。するとやがておねえさんも、なんとなく夢を見たのです。そしておねえさんの夢は、こんなぐあいでした。

   開始,她夢見了小愛麗絲本人,又一次雙手抱住了膝蓋,用明亮而熱切的眼 光仰視著她。她听到小愛麗絲的聲音,看到了她的頭微微一擺,把蓬亂的頭發擺 順了些,這是她常常見到的情景。當她听著、听著愛麗絲說的話時,周圍的環境 隨著她小妹妹夢中的那些奇异動物的降臨而活躍起來了。

   まず、おねえさんは小さなアリス自身のことを夢に見ました。そしてさっきと同じように、小さな手がこちらのひざのうえでにぎりしめられ、そして明るいいきいきとした目が、こちらの目をのぞきこんでいます――アリスの声がまざまざときこえ、いつも目にかぶさるおちつかないあのかみの毛を、へんなふり方で後ろに投げ出すあのしぐさも見えます――そしてそれをきくうちに、というかきいているつもりになるうちに、おねえさんのまわりがすべて、妹の夢の不思議な生き物にいのちをふきこむのでした。

   白兔跳來蹦去,弄得她腳下的洞草沙沙作響,受惊的老鼠在鄰近的洞穴間穿 來穿去,不時揚起一股塵土。她還听到三月兔同它的朋友們共享著沒完沒了的美 餐時碰擊茶杯的聲音,以及王后命令處決她的不幸客人的尖叫聲。同時也听到豬 孩子在公爵夫人腿上打噴嚏,以及盤碗的摔碎聲。甚至听到鷹頭獅的尖叫,壁虎 寫字時的沙沙聲,被制裁的豚鼠的掙扎聲等等。這种种聲音充滿了空間,還混雜 著遠處傳來的素甲魚那悲哀的抽泣聲。

   白うさぎが急ぐと、足もとで長い草がカサカサ音をたてます――おびえたネズミが近くの池の水をはねちらかして――三月うさぎとそのお友だちが、はてしない食事をともにしているお茶わんのガチャガチャいう音が聞こえます。そして運のわるいお客たちを処刑しろとめいじる、女王さまのかなきり声――またもやぶた赤ちゃんが公爵夫人のひざでくしゃみをして、まわりには大皿小皿がガシャンガシャンとふりそそいでいます――またもやグリフォンがわめき、トカゲの石筆がきしり、鎮圧されたモルモットが息をつまらせる音があたりをみたし、それがかなたのみじめなにせウミガメのすすり泣きにまじります。

   于是她將身子坐正,閉著眼睛,半信半疑自己真的到了奇境世界。盡管她知 道只是重溫一個舊夢,而一切都仍會返回現實:蒿草只是迎風作響,池水的波紋 擺動了蘆葦。茶杯的碰擊聲實際是羊頸上的鈴鐺聲,王后的尖叫起源于牧童的吃 喝。豬孩子的噴嚏聲,鷹頭獅的尖叫聲和各种奇聲怪音,原來只是農村中繁忙季 節的各种喧鬧聲。而遠處耕牛的低吟,在夢中變成素甲魚的哀泣。

   そこでおねえさんはすわりつづけました。目をとじて、そして自分が不思議の国にいるのだと、なかば信じようとしました。でも、いずれまた目をあけなくてはならないのはわかっていました。そしてそうなれば、まわりのすべてがつまらない現実にもどってしまうことも――草がカサカサいうのは、風がふいているだけだし、池はあしがゆれて水がはねているだけ――ガチャガチャいうお茶わんは、ヒツジのベルの音にかわり、女王さまのかなきり声は、ヒツジかいの男の子の声に――そして赤ちゃんのくしゃみ、グリフォンのわめきなど、いろんな不思議な音は、あわただしい農場の、いりまじったそう音にかわってしまう(おねえさんにはわかっていたんだ)――そして遠くでいななくウシの声が、にせウミガメのすすり泣きにとってかわることでしょう。

   最后,她想像了這樣的情景:她的這位小妹妹,以后將成為一位婦女。而她 將會畢生保留著童年時的純洁珍愛之心。她還會逗引孩童們,用許多奇异的故事, 或許就是許久以前的這個夢游奇境,使得他們眼睛變得更加明亮熱切。她也將共 享儿童們純洁的煩惱,因為這些煩惱就存在于她自己的童年,以及那愉快的夏日 回憶之中。

   最後におねえさんは想像してみました。この自分の小さな妹が、いずれりっぱな女性に育つところを。そして大きくなってからも、子ども時代の素朴で愛しい心をわすれずにいるところを。そして、自分の小さな子どもたちをまわりにあつめ、数々の不思議なお話でその子たちの目を、いきいきとかがやかせるところを。そのお話には、ずっとむかしの不思議の国の夢だって入っているかもしれません。そして素朴なかなしみをわかちあい、素朴なよろこびをいつくしみ、自分の子ども時代を、そしてこのしあわせな夏の日々も、わすれずにいるところを。

Text from angelibrary.com
Text from genpaku.org